2017 年 12 月 4 日公開 | 2017 年 12 月 6 日更新
Android のセキュリティに関する公開情報には、Android デバイスに影響を与えるセキュリティの脆弱性の詳細を掲載しています。セキュリティ パッチレベル 2017-12-05 以降では、以下のすべての問題に対処しています。デバイスのセキュリティ パッチレベルを確認する方法については、Android のバージョンを確認して更新するをご覧ください。
Android パートナーには、情報公開の 1 か月前までにすべての問題が通知されます。Android オープンソース プロジェクト(AOSP)のリポジトリに、各問題に対するソースコード パッチをリリースしています。また、この公開情報では、これらのパッチへのリンクに加え、AOSP 以外のパッチへのリンクも掲載しています。
下記の問題のうち最も重大度の高いものは、メディア フレームワークで発見された重大なセキュリティの脆弱性です。特別に細工したファイルにより、特権プロセス内で任意のコードをリモートで実行される危険性があります。重大度の評価は、攻撃対象のデバイスでその脆弱性が悪用された場合の影響に基づいています。プラットフォームやサービスでのリスク軽減策が、開発目的または不正な回避策により無効となっていると仮定しています。
この新たに報告された問題によって実際のユーザー デバイスが不正使用された報告はありません。Android セキュリティ プラットフォームの保護や Google Play プロテクトについて詳しくは、Android と Google Play プロテクトでのリスク軽減策をご覧ください。こうした保護により、Android プラットフォームのセキュリティが改善されます。
注: 最新の無線(OTA)アップデートと Google デバイスのファームウェア イメージについての情報は、2017 年 12 月の Pixel / Nexus のセキュリティに関する公開情報のページでご覧いただけます。
Android と Google サービスでのリスク軽減策
ここでは、Android セキュリティ プラットフォームの保護と Google Play プロテクトのようなサービスの保護によるリスクの軽減について概説します。こうした機能は、Android でセキュリティの脆弱性が悪用される可能性を減らします。
- Android プラットフォームの最新版での機能強化により、Android 上の多くの問題の悪用が困難になります。Google では、すべてのユーザーに対し、できる限り最新バージョンの Android に更新することをおすすめしています。
- Android セキュリティ チームは、Google Play プロテクトによって脆弱性の悪用を積極的に監視しており、有害な可能性があるアプリについてユーザーに警告しています。Google Play プロテクトは、Google モバイル サービスを搭載したデバイスではデフォルトで有効になっており、Google Play 以外からアプリをインストールするユーザーにとっては特に重要です。
セキュリティ パッチレベル 2017-12-01 の脆弱性の詳細
以下に、パッチレベル 2017-12-01 に該当するセキュリティ脆弱性の各項目の詳細を示します。脆弱性は、影響を受けるコンポーネントごとに分類しています。問題の内容について説明し、CVE、関連する参照先、脆弱性のタイプ、重大度、更新対象の AOSP バージョン(該当する場合)を表にまとめています。該当する場合は、バグ ID の欄に、その問題に対処した一般公開されている変更(AOSP の変更の一覧など)へのリンクがあります。複数の変更が同じバグに関係する場合は、バグ ID の後に記載した番号に、追加の参照へのリンクを設定しています。
フレームワーク
フレームワークの最も重大な脆弱性により、悪意のあるローカルアプリによって、追加権限を取得するためのユーザー操作の要件が回避されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | 更新対象の AOSP バージョン |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-0807 | A-35056974* | EoP | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2 |
CVE-2017-0870 | A-62134807 | EoP | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-0871 | A-65281159 | EoP | 高 | 8.0 |
メディア フレームワーク
メディア フレームワークの最も重大な脆弱性により、リモートの攻撃者が特別に細工したファイルを使用して、特権プロセス内で任意のコードを実行するおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | 更新対象の AOSP バージョン |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-0872 | A-65290323 | RCE | 重大 | 7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-0876 | A-64964675* | RCE | 重大 | 6.0 |
CVE-2017-0877 | A-66372937* | RCE | 重大 | 6.0 |
CVE-2017-0878 | A-65186291 | RCE | 重大 | 8.0 |
CVE-2017-13151 | A-63874456 | RCE | 重大 | 6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-13153 | A-65280854 | EoP | 高 | 8.0 |
CVE-2017-0837 | A-64340921 [2] | EoP | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-0873 | A-63316255 | DoS | 高 | 6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-0874 | A-63315932 | DoS | 高 | 6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-0880 | A-65646012 [2] | DoS | 高 | 7.0、7.1.1、7.1.2 |
CVE-2017-13148 | A-65717533 | DoS | 高 | 6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
システム
システムの最も重大な脆弱性により、近くにいる攻撃者が特権プロセス内で任意のコードを実行するおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | 更新対象の AOSP バージョン |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-13160 | A-37160362 | RCE | 重大 | 7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-13156 | A-64211847 | EoP | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-13157 | A-32990341 | ID | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-13158 | A-32879915 | ID | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
CVE-2017-13159 | A-32879772 | ID | 高 | 5.1.1、6.0、6.0.1、7.0、7.1.1、7.1.2、8.0 |
セキュリティ パッチレベル 2017-12-05 の脆弱性の詳細
以下に、パッチレベル 2017-12-05 に該当するセキュリティ脆弱性の各項目の詳細を示します。影響を受けるコンポーネントごとに脆弱性を分類し、CVE、関連する参照先、脆弱性のタイプ、重大度、コンポーネント(該当する場合)、更新対象の AOSP バージョン(該当する場合)などの詳細を記載しています。該当する場合は、バグ ID の欄に、その問題に対処した一般公開されている変更(AOSP の変更の一覧など)へのリンクがあります。複数の変更が同じバグに関係する場合は、バグ ID の後に記載した番号に、追加の参照へのリンクを設定しています。
カーネル コンポーネント
フレームワークの最も重大な脆弱性により、悪意のあるローカルアプリによって特権プロセス内で任意のコードが実行されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-13162 | A-64216036* | EoP | 高 | Binder |
CVE-2017-0564 | A-34276203* | EoP | 高 | ION |
CVE-2017-7533 | A-63689921 アップストリーム カーネル |
EoP | 高 | ファイル処理 |
CVE-2017-13174 | A-63100473* | EoP | 高 | EDL |
MediaTek コンポーネント
MediaTek コンポーネントの最も重大な脆弱性により、悪意のあるローカルアプリによって特権プロセス内で任意のコードが実行されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-13170 | A-36102397* M-ALPS03359280 |
EoP | 高 | ディスプレイ ドライバ |
CVE-2017-13171 | A-64316572* M-ALPS03479086 |
EoP | 高 | パフォーマンス サービス |
CVE-2017-13173 | A-28067350* M-ALPS02672361 |
EoP | 高 | システム サーバー |
NVIDIA コンポーネント
NVIDIA コンポーネントの最も重大な脆弱性により、悪意のあるローカルアプリによって特権プロセス内で任意のコードが実行されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-6262 | A-38045794* N-CVE-2017-6262 |
EoP | 高 | NVIDIA ドライバ |
CVE-2017-6263 | A-38046353* N-CVE-2017-6263 |
EoP | 高 | NVIDIA ドライバ |
CVE-2017-6276 | A-63802421* N-CVE-2017-6276 |
EoP | 高 | メディアサーバー |
Qualcomm コンポーネント
メディア フレームワークの最も重大な脆弱性により、リモートの攻撃者が特別に細工したファイルを使用して、特権プロセス内で任意のコードを実行するおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-11043 | A-64728953 QC-CR#2067820 |
RCE | 重大 | WLAN |
CVE-2016-3706 | A-34499281 QC-CR#1058691 [2] |
RCE | 重大 | UDP RPC |
CVE-2016-4429 | A-68946906 QC-CR#1058691 [2] |
RCE | 重大 | UDP RPC |
CVE-2017-11007 | A-66913719 QC-CR#2068824 |
EoP | 高 | Fastboot |
CVE-2017-14904 | A-63662821* QC-CR#2109325 |
EoP | 高 | Gralloc |
CVE-2017-9716 | A-63868627 QC-CR#2006695 |
EoP | 高 | Qbt1000 ドライバ |
CVE-2017-14897 | A-65468973 QC-CR#2054091 |
EoP | 高 | RPMB ドライバ |
CVE-2017-14902 | A-65468970 QC-CR#2061287 |
EoP | 高 | MProc |
CVE-2017-14895 | A-65468977 QC-CR#2009308 |
EoP | 高 | WLAN |
Qualcomm クローズドソース コンポーネント
Qualcomm コンポーネントに影響する脆弱性は次のとおりです。詳細については、該当する Qualcomm AMSS のセキュリティに関する公開情報またはセキュリティ アラートをご覧ください。これらの問題の重大度の評価は、Qualcomm から直接提供されたものです。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|---|
CVE-2017-6211 | A-36217326* | N/A | 重大 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-14908 | A-62212840* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-14909 | A-62212839* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-14914 | A-62212297* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-14916 | A-62212841* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-14917 | A-62212740* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-14918 | A-65946406* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-11005 | A-66913715* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2017-11006 | A-66913717* | N/A | 高 | クローズドソース コンポーネント |
一般的な質問と回答
上記の公開情報に対する一般的な質問についての回答は以下のとおりです。
1. 上記の問題に対処するようにデバイスが更新されているかどうかを確かめるには、どうすればよいですか?
デバイスのセキュリティ パッチレベルを確認する方法については、Android のバージョンを確認して更新するをご覧ください。
- セキュリティ パッチレベル 2017-12-01 以降では、セキュリティ パッチレベル 2017-12-01 に関連するすべての問題に対処しています。
- セキュリティ パッチレベル 2017-12-05 以降では、セキュリティ パッチレベル 2017-12-05、およびそれ以前のすべてのパッチレベルに関連するすべての問題に対処しています。
このアップデートを組み込んだ端末メーカーは、パッチレベル文字列を以下に設定する必要があります。
- [ro.build.version.security_patch]:[2017-12-01]
- [ro.build.version.security_patch]:[2017-12-05]
2. この公開情報に 2 つのセキュリティ パッチレベルがあるのはなぜですか?
この公開情報では、2 つのセキュリティ パッチレベルを定義しています。これは、すべての Android デバイスにまたがる同様の脆弱性をひとまとめにして、Android パートナーが迅速かつ柔軟に修正できるようにするためです。Android パートナーは、この公開情報に掲載されている問題をすべて修正し、最新のセキュリティ パッチレベルを使用することが推奨されています。
- 2017-12-01 のセキュリティ パッチレベルを使用するデバイスには、そのセキュリティ パッチレベルに関連するすべての問題と、それより前のセキュリティに関する公開情報で報告されたすべての問題の修正を含める必要があります。
- 2017-12-05 以降のセキュリティ パッチレベルを使用するデバイスには、今回(およびそれより前)のセキュリティに関する公開情報に掲載された、該当するすべてのパッチを組み込む必要があります。
パートナーには、対処するすべての問題の修正を 1 つのアップデートにまとめて提供することが推奨されています。
3. 「タイプ」列の項目はどういう意味ですか?
脆弱性の詳細の表で「タイプ」列に記載した項目は、セキュリティの脆弱性の分類を示しています。
略語 | 定義 |
---|---|
RCE | リモートコード実行 |
EoP | 権限昇格 |
ID | 情報開示 |
DoS | サービス拒否攻撃 |
なし | 該当する分類なし |
4. 「参照」列の項目はどういう意味ですか?
脆弱性の詳細の表で「参照」列に記載した項目には、その参照番号が属する組織を示す接頭辞が含まれる場合があります。
接頭辞 | 参照 |
---|---|
A- | Android バグ ID |
QC- | Qualcomm の参照番号 |
M- | MediaTek の参照番号 |
N- | NVIDIA の参照番号 |
B- | Broadcom の参照番号 |
5. 「参照」列の Android バグ ID の横にある「*」はどういう意味ですか?
公開されていない問題には、「参照」列の Android バグ ID の横に「*」を付けています。この問題のアップデートは、Google デベロッパー サイトから入手できる Nexus デバイス用最新バイナリ ドライバに通常含まれています。
6. セキュリティの脆弱性が、この公開情報と、デバイスやパートナーのセキュリティに関する公開情報(Pixel / Nexus のセキュリティに関する公開情報など)に分けられているのはなぜですか?
Android デバイスの最新のセキュリティ パッチレベルを宣言するためには、このセキュリティに関する公開情報に掲載されているセキュリティの脆弱性への対処が必要となります。 それ以外の、デバイスやパートナーのセキュリティに関する公開情報に掲載されているセキュリティの脆弱性への対処は必須ではありません。Samsung、LGE などの Android デバイスやチップセットのメーカーは、自社のデバイスに関して他にも修正がある場合、その情報を自社のセキュリティ関連のウェブサイトや Pixel / Nexus のセキュリティに関する公開情報に掲載することが推奨されています。
バージョン
バージョン | 日付 | メモ |
---|---|---|
1.0 | 2017 年 12 月 4 日 | 情報公開 |
1.1 | 2017 年 12 月 6 日 | 公開情報を改訂し AOSP リンクを追加 |